薬剤師ゆうの薬の話薬剤師の内緒の話

明日は我が身

2007年8月31日、新聞にこんな記事が出ていました。

”2005年8月13日に千葉県内の薬局でリズミックの処方に対してグリミクロンを調剤。服用した患者は8月23日に「気分が悪い」と訴え入院、昏睡状態になり、2006年9月27日に死亡(一部要約)”

小さな記事で、また患者さんの病態、既往歴についての情報がないけれど、薬剤師、また医療に従事する人間にとっては色々疑問をもったり、考えさせられる記事です。


薬局名は新聞には記載されていたけれど、どの程度の規模、薬を取り扱っている薬局だったのでしょうか。

リズミック、グリミクロンともに劇薬なので、同じ棚周辺にあったのでしょう。(薬局などによっては、糖尿病薬をまとめて別にして、間違えないように区別しているところもありますが)

五十音順に並んでいたのか、薬効群で並んでいたのか分かりませんが、そこで取り違えをしてしまった、という可能性は否定できません。

今回、調剤過誤があった薬の効果は以下のものです。

リズミック・・・低血圧の治療薬

グリミクロン・・・糖尿病の治療薬

つまり、薬効(やっこう:薬の効果)は、全く異なるものです。

錠剤そのものは共に小さな白い裸錠。でも薬が入っているパッケージシート(PTPヒート)は異なります。

なぜ、患者さんに薬を渡すとき、もしくはご家族の方に薬を渡すときに気がつかなかったのか悔やまれます。

ここで診察した医師の説明と、薬剤師の説明が食い違っていることに気がついていたら・・・。

というのは、糖尿病の薬の場合、薬を飲むことにより低血糖のリスクなどがあります。低血糖の症状、その時の対処の仕方など必ず説明する必要があると私は思っています。

だからこそ、時間に急いでいる患者さん、薬剤師の話なんて、と思っている患者さんへの説明の仕方に悩んでいる薬剤師は大勢いるのですが・・・。

もちろん、どんな世界においても”~たら、~れば”は禁物です。

起こってしまった事実、それが全てです。

調剤に関わる薬剤師であれば、決して他人事ではないこの調剤過誤。

薬剤師として働く以上、決してあってはならないことです。

私達薬剤師は、疑問があったまま調剤はできませんし、してはいけません。

患者さんやそのご家族の話と薬の内容が食い違っていたら、決してそのままにはしておきません。

どうか、疑問があったら私達に声をかけてください。

薬剤師ごとき、と言われるときもありますが、そんな時には主治医に確認してください。


亡くなった方のご冥福をお祈りします。

【追記:2007.10.25】

後の報道でこのケースでは飲み方ごとに薬をビニール袋に分包した一包化にてミスが起こったことがわかりました。完全なる1人薬局で、事件とは無関係に以前にも保健所からの調査が入ったときに、劇薬などの区分をはっきりしていなかったため改善するよう言われていたそうですが、残念ながら実行には移されていなかったとのこと。

あの時に改善していれば、薬をもう1回機械にセットする前に確認していたら・・・

結果的にこの薬局は店を畳むことになりましたが、医療現場は”たら、れば”が一切通用しない場所でもあります

間違っているわけがない、というこの”思い込み”こそを徹底的に排除していかないといけない、と改めて痛感しました。


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2007年8月31日、新聞にこんな記事が出ていました。

”2005年8月13日に千葉県内の薬局でリズミックの処方に対してグリミクロンを調剤。服用した患者は8月23日に「気分が悪い」と訴え入院、昏睡状態になり、2006年9月27日に死亡(一部要約)”

小さな記事で、また患者さんの病態、既往歴についての情報がないけれど、薬剤師、また医療に従事する人間にとっては色々疑問をもったり、考えさせられる記事です。


薬局名は新聞には記載されていたけれど、どの程度の規模、薬を取り扱っている薬局だったのでしょうか。

リズミック、グリミクロンともに劇薬なので、同じ棚周辺にあったのでしょう。(薬局などによっては、糖尿病薬をまとめて別にして、間違えないように区別しているところもありますが)

五十音順に並んでいたのか、薬効群で並んでいたのか分かりませんが、そこで取り違えをしてしまった、という可能性は否定できません。

今回、調剤過誤があった薬の効果は以下のものです。

リズミック・・・低血圧の治療薬

グリミクロン・・・糖尿病の治療薬

つまり、薬効(やっこう:薬の効果)は、全く異なるものです。

錠剤そのものは共に小さな白い裸錠。でも薬が入っているパッケージシート(PTPヒート)は異なります。

なぜ、患者さんに薬を渡すとき、もしくはご家族の方に薬を渡すときに気がつかなかったのか悔やまれます。

ここで診察した医師の説明と、薬剤師の説明が食い違っていることに気がついていたら・・・。

というのは、糖尿病の薬の場合、薬を飲むことにより低血糖のリスクなどがあります。低血糖の症状、その時の対処の仕方など必ず説明する必要があると私は思っています。

だからこそ、時間に急いでいる患者さん、薬剤師の話なんて、と思っている患者さんへの説明の仕方に悩んでいる薬剤師は大勢いるのですが・・・。

もちろん、どんな世界においても”~たら、~れば”は禁物です。

起こってしまった事実、それが全てです。

調剤に関わる薬剤師であれば、決して他人事ではないこの調剤過誤。

薬剤師として働く以上、決してあってはならないことです。

私達薬剤師は、疑問があったまま調剤はできませんし、してはいけません。

患者さんやそのご家族の話と薬の内容が食い違っていたら、決してそのままにはしておきません。

どうか、疑問があったら私達に声をかけてください。

薬剤師ごとき、と言われるときもありますが、そんな時には主治医に確認してください。


亡くなった方のご冥福をお祈りします。

【追記:2007.10.25】

後の報道でこのケースでは飲み方ごとに薬をビニール袋に分包した一包化にてミスが起こったことがわかりました。完全なる1人薬局で、事件とは無関係に以前にも保健所からの調査が入ったときに、劇薬などの区分をはっきりしていなかったため改善するよう言われていたそうですが、残念ながら実行には移されていなかったとのこと。

あの時に改善していれば、薬をもう1回機械にセットする前に確認していたら・・・

結果的にこの薬局は店を畳むことになりましたが、医療現場は”たら、れば”が一切通用しない場所でもあります

間違っているわけがない、というこの”思い込み”こそを徹底的に排除していかないといけない、と改めて痛感しました。




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