嘔吐下痢症
冬になると突然子供達に流行る嘔吐下痢症。上から下からとお母さん、お父さん、家族はおおわらわ。
今回はこの嘔吐下痢の原因や注意事項、使われる薬のお話です。
■嘔吐下痢症とは
突然滝の様に嘔吐が続いたかと思うと、嘔吐と時を同じく、もしくは少し遅れて今度は水のような下痢。
嘔吐は2日程度でおさまるものの、下痢は1週間続くこともあり子供も親もぐったり。冬場の乳幼児に流行るロタウイルスやノロウイルスなどによる下痢は、黄色~白っぽい下痢が特徴。酸っぱいニオイを感じることもあります。また、消化器症状だけでなく、時には熱をだしたり、鼻水を伴ったりすることもあります。
冬場だけでなく、年中ウイルスは蔓延しているので大人でもこのような症状にかかった人もいるかもしれません。子供も大人も疲れがたまっていたり、抵抗力が弱っていたり、そんなきっかけで人からうつってしまうこともあります。
■嘔吐下痢症になったら
①病院を受診:ぐったりしていたり、1日たっても嘔吐が続いていたり、おなかを強く痛がり続けるようならとにかく早めに受診してください。脱水にも注意が必要です。脱水がひどかったり、嘔吐が収まらないようなら時には入院治療が必要なこともあります。
②処方された薬をしっかり飲む:薬のことについては後述
③安静と水分補給:脱水を防ぐとはいえ、一気に飲ませてしまうと、刺激となってまた嘔吐してしまうことがあります。
一度にたくさん、ではなく大体5ml(ティースプーン1杯程度)から飲ませてみます。お子さんの様子を見ながらほんの一口、口を湿らすところから初めてみましょう。
5ml程度飲んで10分くらい様子をみて吐かないようなら、次は10ml程度といった具合で少しずつ進めていきます。
また市販の電解質が含まれている水分も有効です。医師が電解質を含んだ粉を処方することもあります。これは水に溶かして少しずつ飲ませるようにしましょう。
尚、大人でもそうですが、電解質飲料の甘さで嘔吐を誘発されてしまう場合もありますので、くれぐれも少しずつ、という鉄則はお忘れなく。
また少し大きい子供にはゆっくりと氷のかけらを口に含ませるのも口がさっぱりとします。噛み砕かず、あくまでも自然に溶けるようにします。
幼稚園、保育園に行きたがっても、下痢が収まるまでは自宅安静です。周りのお子さんへの感染を予防と同時に、自身のお子さんの体力が戻るのを待ちます。
④食事:無理しなくて大丈夫。
食べ物より水分が優先されますが、本人が食べたがるようであれば、消化のよいものからはじめてみます。牛乳が大好きなお子さんでも病気になった腸には負担が大きいのでしばらくはお休みします。
⑤お尻拭き:特におむつをしている子どもの場合は、頻回な下痢刺激でお尻が荒れてしまうことがあります。おむつを交換する度にキレイに拭いてあげましょう。そしてその度にケアした大人はしっかり石鹸で手洗いを行うのは言うまでもありません。
【追記】娘が小2の時に胃腸炎からの流れで1週間頻回な下痢が続いたときがあります。柔らかいトイレットペーパーに切り替えても痛みを訴えたので、トイレに流せるお尻拭きを使ってみたところ負担が少なかったそうです。(ウォッシュレットはついているものの、水の方向が後ろから前に流れるので使っていません。)
■嘔吐下痢症に使われる主な薬
ⅰ)抗生剤
基本的には原因物質がウイルスなので抗生剤は無効です。ですが、併発している熱や咳などの症状に対して、また2次感染を防ぐ場合に処方されることがあります。
ⅱ)整腸剤
下痢と一緒に腸内にいて欲しい腸内細菌まで流されてしまいます。また抗生剤を併用することでこれらの菌が殺されてしまったりして、いつもの良い状態になれない腸環境を整えるために処方されます。下痢が止まっても飲んでいて問題ないので、処方された日数はしっかりと飲みます。
ⅲ)下痢止め
なんでもかんでも下痢を止めてしまうのはよくないこともありますが、頻回な下痢の時に処方されることがあります。
この下痢止めは必ず毎日の便の様子を確認しながら飲ませる必要があります。水様便から少し形になってくるようであれば、一度薬を飲ませるのをやめて様子を見てみます。(どうしても突然止めるのに抵抗があるようであれば、1日2回飲ませるところを1日1回にして様子をみてもOK)
また便がでなくなった場合はすぐに下痢止めを飲ませるのを止めます。便がきちんとでているにも関わらず飲ませ続けてしまうと便秘を引き起こし、時には腸閉塞にまでつながることがあります。きちんと医師の指示を守って飲ませてください。
ⅳ)吐き気止め
嘔吐下痢の時には口から入れるよりも、肛門から挿入する坐薬で処方されることが多いです。
ここで私達薬剤師が気をつけてお話しているのは、複数の種類の坐薬が処方された時。
坐薬というのは、その本体を固まらせるために色々な基材と呼ばれる材料が使われています。この材料の種類によって順番が決まることが往々にしてあります。
またより緊急性のあるものを先に挿入するというセオリーもあります。
症状の緊急性により、また坐薬の種類により使い方は異なりますので、処方される坐薬が複数ある場合には、医師もしくは薬剤師に予め確認しておきましょう。
具体的には、熱性痙攣の予防薬、てんかんをおさえる薬、吐き気止めを先に挿入し、解熱剤や抗生剤の坐薬は30分ほどたってから挿入する方法が一般的です。
ただし、同じ種類の材料で使われている坐薬の場合には5分程度の間隔で別の種類の坐薬を使うことができます。症状、種類により使い方は個々に異なりますので、予め医師もしくは薬剤師に確認しておきましょう。
くれぐれもケアする家族も手洗い、うがいをしっかりして家庭内感染を防いでください。
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