薬剤師ゆうの薬の話 » 006)薬の話~一般・副作用~ » 酸っぱいのが嫌いな抗生剤
子供に薬を飲ませるのは、一苦労どころか何苦労になることか、とよく保護者の方から伺います。
時には馬乗りになって飲ませるというお母さんもいて、私は話を伺いながらどきどきしてしまいます。
飲ませるために、色々と工夫されているご家族が多いのですが、時にはせっかくの工夫が逆効果になることに。
今回は、そんな相性の悪い飲み方の1例をご紹介します。
■マクロライド系抗生剤の粉薬 VS 酸っぱい飲み物・食べ物
具体的な薬品名の一部を挙げます。
薬品名:ジスロマック・クラリス・クラリシッド・エリスロシン・リカマイシン・ジョサマイシン・ミオカマイシン
この中で特に飲みにくいのが前者の3薬品。にがいのです。特にジスロマックはにがみが強いです。クラリス、クラリシッドは風味はイチゴのようですが、やっぱり苦いです。
(ジスロマックは味の改良を行いましたが、やはりまずい。一瞬油断して口の中で粉を遊ばせてしまうと、一気に苦味がおそってきます)
エリスロシン以下は、濃い味(甘味)がついています。(この甘味のために、飲みにくく感じる子供達もいます)
■なんで?~原理~
マクロライドという種類の成分は元々苦味がある薬です。そのため、少しでも飲みやすくするよう(苦味を閉じ込める特殊加工)に薬の周りに甘味というコーティングをしてあります。
このコーティングが溶けてしまうと苦くなる。
そしてその原因がPH(ペーハー)なのです。
このコーティングは酸っぱいもの(Phが低いもの=酸性のもの)と交じり合ってしまうと、溶け出してしまいます。その結果、苦味が口の中一杯に広がっていくのです。
■何がだめ?
柑橘系のジュース(オレンジ・グレープフルーツなど)・スポーツドリンク・ヨーグルトが主に酸っぱいものの仲間です。
これらと混ぜてしまうと、せっかくのコーティングが溶け出してしまい苦さ一杯になってしまいます。
■何で、どうやって飲ませる?
具体的には、チョコレートやココアといった濃い味が比較的苦味が隠されて飲みやすくなります。(チョコは、パンに塗るタイプのものです)
牛乳(アレルギーがない場合、でも嫌いになるのを避けたい時期にはお奨めしません)・バニラアイスでも大丈夫です。当然、水・麦茶・緑茶・ウーロン茶でも大丈夫。
*ハチミツは1歳未満の子供には食べさせられませんので注意してください。
補助ゼリー(お薬のめたね、など)もpH7前後に調製されているのですが、様々なタイプが出回ってきているので購入時にお店の人、薬剤師に確認することをお奨めします。
■飲ませるコツは?
①多くの水に混ぜない。小皿やカップに薬をいれたら、少量づつ水分を加えていきながら混ぜていきます。
②溶けにくい薬が多いので、小皿やカップに残らないように気をつける。そのためにも、あまり多くの水や食べ物に混ぜないこと。
③ゼリー(食べ物)→薬→ゼリー(食べ物)、と薬を間に挟んであげてサンドイッチ状にしてみる。
上に薬をふりかけただけでは、口に接する部分に苦味が感じられ、嫌がってしまいがちです。
④補助ゼリーを使う場合:水分を捨てること。若干、水気が多いように私は感じます。あまり水気が強いとむせてしまいきちんと飲み込めないことがあります。また、補助ゼリーは開封後の賞味期限が3日、7日と短いものが多いです。購入時に開封後の賞味期限を確認してください。
良薬は口に苦し、はいつの時代でも同じなんですね。
