薬まだ?
【注意】あくまでも私見です。
”薬まだ?まだできないの?”
外来をやっている病院、そして調剤薬局でこの言葉を聞かなかった薬剤師はいるのだろうか?
私自身は、病院の時よりも、格段に現在の調剤薬局でのほうがこの言葉を言われている。
これは病院という場所がクレームを言いにくい場所になっているから?それとも単なる仕事の流れの悪さ?
もちろん決して仕事の流れが完璧とはいえない、と思えるシーンにであうこともある。
それは個々の薬局内で話し合い、薬剤師と患者相互にスムーズに流れるよう検討していくべきこと。
そしてもう1つの事情。
それは処方内容。
処方をうけるメイン病院が1つでかつ患者数が少ない薬局の場合だと順番通りに調剤できるからこういった言葉を患者さんから聞くことはほぼない。(たまにせっかちにも受付して、まだ1分もたってないのに”まだ?”と言われたことはあったけど)
様々な処方箋や大学病院の処方を扱う調剤薬局だとこの処方内容が順番を狂わす大きな原因になってしまう。
普段の生活でもほんの少しの時間でできる事とじっくり腰を落ち着けて行う事が生じた時、大部分の人はまずさっさと終わることをやってからじっくりと落ち着いてやるであろう。
それと一緒にしてしまうことに反論を唱える人もいるかもしれないけれど、これを処方を例に薬局に置き換えてみると・・・
処方① 目薬 1種×2本
処方② 痛み止め、胃薬の飲み薬2種類14日分、湿布
処方③ 降圧薬(血圧治療薬)や心疾患の薬などの錠剤が盛りだくさんの処方70日分
処方④ 機械で分包しなければいけない粉薬やシロップ剤(水薬)、錠剤
処方⑤ 手で練って混ぜ合わせなければいけない軟膏(塗り薬)
さあ、あなたなら何からやりはじめますか?
まず処方④や⑤。
処方④なら時間がかかるけれども、機械にセットするまでやってしまえば、機械が動いている間に他の錠剤を集めたりシロップをつくることが可能。
機械待ちの間に処方①や処方②もやってしまえる。
そして粉が機械で出来上がると粉だけの監査が開始。
これは巻き誤差がないか(1包だけ多かったり少なかったりしてはいけないので重さをはかったり、目視する)、ゴミが入っていないかといったことを確認。
目で1包ずつ確認するため処方日数が多いと時間がどんどん経過・・・。
その間に調剤者が集めた薬を他の薬剤師がチェックする場所でもある監査台を見てみると、処方①や②は既に監査を終え、スタンバイOK。
処方⑤は他の薬剤師が必死の形相で練って混ぜ合わせている。処方③も調剤が進んでいるようだ・・・
そしていざ患者さんの手元に渡る時間を見てみると、処方④を一番最初に受付していてもどうしても処方①や②から渡してしまうことになり、結果、順番が前後してしまうことになる。
当然、薬局それぞれが例えば処方④や⑤のような時間がかかる処方に関しては受付した段階でコピーをして調剤担当者に渡す、よくでる粉薬や軟膏の混ぜに関しては予め用意をしておく、といった工夫をしている。
まだまだ改善の余地はあるのだろうけれども、”薬まだ?”の問いかけやお怒りに”申し訳ありません。あとどのくらい時間がかかるか確認してみます”という答える背景にはこんな事情もあるのです。
いつもお待たせしている皆様、申し訳ありません。
あっ、この文章を読んで単なる自己弁護だ、と思う方がいらっしゃったら大きな誤解ですから。