不妊治療・治療薬
不妊治療の概略に引き続き、こちらでは実際に治療に使われる薬のお話をしていきます。
主に使われる薬剤は排卵誘発剤です。排卵障害がある場合はもちろん、正常にあっても妊娠の可能性を高めるために治療薬として使われることがあります。また時に漢方が用いられることがあります。
■治療薬
成分名 | 使われ方 | 副作用 | 一部の商品名 |
クロミフェン | 比較的弱めの排卵誘発剤で内服薬としてFIirst choice(第一選択薬)となります。月経周期5日目から5日間服用し、12日前後に卵胞計測を行います。本剤は排卵障害や卵胞発育不全に有効とされています。5クールを一区切りとし、妊娠成立しなかった場合は一時休薬したり、他の治療法が選択されることもあります。 排卵誘発率は60%前後とされています。 | 少ない薬剤ですが、長期連用により子宮内膜が薄くなり、受精卵が着床しにくくなることあります。 (超音波検査により確認) また目がかすむ、頭痛などの症状がでることもあります。その場合は服用中止となります。 多胎率は4~6%と低めです。 | クロミッド |
ゴナドトロピン製剤 (hMG) | 卵巣を刺激し、卵胞を育てるホルモンです。月経の3~5日目頃から7~10日間隔日又は連日筋肉注射します。投与期間は卵胞計測の結果により決められます。重度の排卵障害、クロミッド無効例に使われることが多い薬剤です。 | 腹部膨満、下腹部痛、口渇、吐き気などがあります。腹水貯留などの重症例では入院となることがあります。 自覚症状が少しでもあったら、ためらわずに受診してください。多胎率は20%前後とされています。この内20%が3胎以上の確率との報告もあります。 | ヒュメゴン・ パーゴナル |
絨毛性ゴナドトロピン製剤 (hCG) | 成熟した卵胞を排卵させる作用をもちます。hMGによる排卵誘発を行った際には必ず用いられる薬剤です。また排卵後に黄体機能維持のために用いられることもあります。卵胞計測により径が20mm前後に達した段階で筋肉注射されます。 | 副作用はhMG投与後に発症するとされています。 | ゲストロン・ プロファシー |
黄体ホルモン剤 | 排卵後に受精卵の着床を促すため、黄体機能を補助するために用いられる薬剤です。妊娠継続を目的として、排卵後、10日間前後使用されます。また人工的に月経を起こさせるために使用されることもあります。 | 肝機能異常、むくみ、吐き気などが報告されています。またごく僅かですが、血栓症といった重大な副作用が生じることもあります。突然の激しい頭痛、手足の痛み、冷や汗、息切れ、視力低下などの異変があったら、我慢せずに速やかに受診してください。 | 内服薬:プロベラ・デュファストン 注射薬:プロルトンデポー・プロゲホルモン注 |
卵胞ホルモン | 排卵障害、無月経の場合に一時的に月経周期をコントロールするために使用される、カウフマン療法に用いられることが多い薬剤です。 カウフマン療法とは、1週間卵胞ホルモンを投与し、続いて卵胞ホルモンと黄体ホルモンを2週間前後投与します。(投与期間の前後はあり)これらのホルモンを投与することで、バランスのとれたホルモン動態を再現することを目的としています。何周期か行い、休薬期間をおくことで、自己の月経が再開することもあります。 | 吐き気、めまい、頭痛などが報告されています。 | 内服薬:プレマリン・デポシン 注射薬:オバホルミンデポー |
卵胞黄体ホルモン合剤 | 主に月経周期のコントロール、機能性子宮出血のコントロールに使用される薬剤です。 | 吐き気・嘔吐などが報告されています。 | ドオルトン |
高プロラクチン血症治療薬 | プロラクチンは分娩後に分泌が増加し乳汁の分泌を促すホルモンです。妊娠していないのにプロラクチンが増加すると、卵胞発育が障害され月経異常を起こし、不妊の原因となることがあります。このため、血中のプロラクチン濃度が高い場合に使われることが多い薬剤です。産婦人科以外にもパーキンソン症候群にも用いられたりする薬剤です。 | 吐き気・下痢・めまい・頭痛などが報告されています。 | テルロン・ パーロデル |
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