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薬の開発

医療の世界は日々変化していきます。その中でも薬の発売には、その都度ない頭を駆使して多くの知識を仕入れなければいけませんし、それが私達薬剤師の仕事の1つでもあります。

画期的な新薬は少なくなったとはいえ、医学は日進月歩で少しでも治療に役立つ薬が開発されています。

そう、今この瞬間も多くの薬が開発途上なのです。今回はそんな薬の開発に関する話題です。

1.開発の流れ

大きな流れは【スクリーニング試験→前臨床試験→臨床試験】となります。
その後【厚生労働省より承認→薬価基準収載(1錠、1g単位での薬の値段の決定)→発売】となり私達の手元への供給体制が整います。
承認後も、販売と平行しながら、“市販後調査”が行われ、安全性等の審査・チェック機構が働いています。


販売にいたるまでは膨大な期間(10年~20年以上)、費用がかかります。途中で人には使えないことが分かったり、問題が発生したりすることで開発が見送られることも多々あります。

最近では海外のデータが迅速に使えるよう見直しもされてきています。有効性が高い薬が迅速に必要とされている人のところへ届くことを願っています。

A)スクリーニング試験

医薬品の素材となる物は天然物(草、皮など)、化学合成品などがあります。この中から、医薬品として効果をもつもの、さらに毒性が強くないものをふるい分けることを言います。1万以上の新規物質のうちごく僅か。この新規物質は特許申請がされます。

B)前臨床試験

a)薬効薬理試験:目的とされる効果と関連する既存の薬物との比較を行い、作用の仕方を明らかにする試験

b)一般薬理試験:目的とされる効果以外の作用や副作用との関連などを試験

c)毒性試験:安全性を確保するための重大な試験。全てを把握することは不可能ですが、予知性を高めることもこの試験では大事。実際は、この毒性試験内でさらに細かく2つに試験が分類されています。

d)薬物動態試験:薬物の吸収、分布、代謝、排泄を知るための試験。体内への蓄積性も調べられます。

*この試験段階の対象はヒトではなく、ラット、ウサギ、ブタ、イヌ、サルなどが用いられます。色々な犠牲の元に私達は暮らしています。 

C)臨床試験・・・治験が行われていきます。多くの患者対象は主に第3相になります。

a)第1相試験:少数の健康な男子成人にて安全性を検討する試験。一部健常人を使えない薬の場合は患者にて試験。

b)第2相試験:少数の患者にて試験。前期後期の2期に分けられ、安全性はもとより、他剤との併用、副作用について試験されます。

c)第3相試験:第1・2相にて有効性、安全性、服用量などの確実な資料が得られてから多数の患者にて試験。この試験内容では、必要な医療機関数や症例数が定められています。また、この際には統計的に有意かどうかを客観的に判断するために、二重盲検という手法が用いられます。

d)第4相試験(発売後):今までの試験では長期にわたる影響や妊婦などへの影響も検討されていないため、市販後の追跡調査が設定されています。発売後6年間は厚生労働省に副作用等の報告をします。また一部の指定された薬によっては、全数調査が行われます。また随時、副作用等は報告する義務があり、再評価が行われていきます。

*)二重盲検とは・・・
2種類の薬が用意されます。1つは偽薬(プラセボ)もしくは既に市販されている標準薬物、これに対してもう1つは治験薬です。医師も患者にもどちらが使われているか分からない状態で投与されます。これにより、主観、心理的要素が入らないようにします。

(*治験については別途記載します)

2.治験協力者へのお願い

最近では、新聞やネットで対象患者を幅広く公募しています。多くは第3相の参加となります。

医薬品の開発に関しては、とても大事なことです。ただ、その大事さを強く認識した上で参加していただきたいと思います。

当然、文章による同意をもって治験は始まります。途中でやめることもできます。治験が始まると、事細かに制限され、確認をとる場合も多々あります。でもそんな時に、簡単に面倒だから、といった理由で辞めて欲しくないのです。その薬を待っている患者さんがいます。

薬だけではありません。健康食品等に関しても同様です。各社とも、精一杯の力で開発に力をかけています。単なるお小遣いかせぎといった思いでの参加は、現場に混乱をきたしますので、よく考えたうえでの参加を切に願います。

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医療の世界は日々変化していきます。その中でも薬の発売には、その都度ない頭を駆使して多くの知識を仕入れなければいけませんし、それが私達薬剤師の仕事の1つでもあります。

画期的な新薬は少なくなったとはいえ、医学は日進月歩で少しでも治療に役立つ薬が開発されています。

そう、今この瞬間も多くの薬が開発途上なのです。今回はそんな薬の開発に関する話題です。

1.開発の流れ

大きな流れは【スクリーニング試験→前臨床試験→臨床試験】となります。
その後【厚生労働省より承認→薬価基準収載(1錠、1g単位での薬の値段の決定)→発売】となり私達の手元への供給体制が整います。
承認後も、販売と平行しながら、“市販後調査”が行われ、安全性等の審査・チェック機構が働いています。


販売にいたるまでは膨大な期間(10年~20年以上)、費用がかかります。途中で人には使えないことが分かったり、問題が発生したりすることで開発が見送られることも多々あります。

最近では海外のデータが迅速に使えるよう見直しもされてきています。有効性が高い薬が迅速に必要とされている人のところへ届くことを願っています。

A)スクリーニング試験

医薬品の素材となる物は天然物(草、皮など)、化学合成品などがあります。この中から、医薬品として効果をもつもの、さらに毒性が強くないものをふるい分けることを言います。1万以上の新規物質のうちごく僅か。この新規物質は特許申請がされます。

B)前臨床試験

a)薬効薬理試験:目的とされる効果と関連する既存の薬物との比較を行い、作用の仕方を明らかにする試験

b)一般薬理試験:目的とされる効果以外の作用や副作用との関連などを試験

c)毒性試験:安全性を確保するための重大な試験。全てを把握することは不可能ですが、予知性を高めることもこの試験では大事。実際は、この毒性試験内でさらに細かく2つに試験が分類されています。

d)薬物動態試験:薬物の吸収、分布、代謝、排泄を知るための試験。体内への蓄積性も調べられます。

*この試験段階の対象はヒトではなく、ラット、ウサギ、ブタ、イヌ、サルなどが用いられます。色々な犠牲の元に私達は暮らしています。 

C)臨床試験・・・治験が行われていきます。多くの患者対象は主に第3相になります。

a)第1相試験:少数の健康な男子成人にて安全性を検討する試験。一部健常人を使えない薬の場合は患者にて試験。

b)第2相試験:少数の患者にて試験。前期後期の2期に分けられ、安全性はもとより、他剤との併用、副作用について試験されます。

c)第3相試験:第1・2相にて有効性、安全性、服用量などの確実な資料が得られてから多数の患者にて試験。この試験内容では、必要な医療機関数や症例数が定められています。また、この際には統計的に有意かどうかを客観的に判断するために、二重盲検という手法が用いられます。

d)第4相試験(発売後):今までの試験では長期にわたる影響や妊婦などへの影響も検討されていないため、市販後の追跡調査が設定されています。発売後6年間は厚生労働省に副作用等の報告をします。また一部の指定された薬によっては、全数調査が行われます。また随時、副作用等は報告する義務があり、再評価が行われていきます。

*)二重盲検とは・・・
2種類の薬が用意されます。1つは偽薬(プラセボ)もしくは既に市販されている標準薬物、これに対してもう1つは治験薬です。医師も患者にもどちらが使われているか分からない状態で投与されます。これにより、主観、心理的要素が入らないようにします。

(*治験については別途記載します)

2.治験協力者へのお願い

最近では、新聞やネットで対象患者を幅広く公募しています。多くは第3相の参加となります。

医薬品の開発に関しては、とても大事なことです。ただ、その大事さを強く認識した上で参加していただきたいと思います。

当然、文章による同意をもって治験は始まります。途中でやめることもできます。治験が始まると、事細かに制限され、確認をとる場合も多々あります。でもそんな時に、簡単に面倒だから、といった理由で辞めて欲しくないのです。その薬を待っている患者さんがいます。

薬だけではありません。健康食品等に関しても同様です。各社とも、精一杯の力で開発に力をかけています。単なるお小遣いかせぎといった思いでの参加は、現場に混乱をきたしますので、よく考えたうえでの参加を切に願います。



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