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子供の風邪に抗生剤は必要?

子供の風邪症状対してのに抗生剤の投与に関して、ガイドラインが2004年11月に掲載されました。

抗生剤=悪、なのでしょうか?今回は小児に関するお話です。

■風邪(上気道炎)症状へは“有害無益”


「日本小児呼吸器疾患学会」と「日本小児感染症学会」が合同でまとめた【小児呼吸器感染症診療ガイドライン2004】によると、いわゆる普通の風邪症状(鼻、喉の症状)、扁桃腺などはウイルス感染によるもののため“抗菌剤(抗生物質)は不要”と明記されていました。

特に普通の風邪では、上記のサブタイトルにも書きましたが、“抗菌剤の使用は有害無益とされ、適応がないとする報告が多い”と記載されています。

無意味な抗生剤の乱用で薬が効かなくなる耐性菌の発現を抑えるためにも、病気に応じて抗生剤が処方され、全国どこでも統一された治療が受けられるようになることが望まれます。

もちろん、子供だけでなく成人でも普通の風邪症状では原則抗菌剤は必要ないとの考えが主流です。(「成人気道感染症診療の基本的な考え方」2003年より)

■抗生剤が必要な時もある

矛盾しているわけではありません。

病気の種類によっては、速やかに抗生剤を投与することが必要な場合もあります。小さなお子さんであれば、比較的かかる確率が高い“溶連菌”による症状には抗生剤が効果があります。この場合は、医師の許可があるまで抗生剤を飲み続けることが大事です。尚、この溶連菌に関しては速やかに検査で感染の有無が分かります。

抗生剤=悪、ではないのです。

■抗生剤が不要とされる主な症状・疾患

・感冒(いわゆる風邪症状):症状)38.5度以下の熱、鼻水、鼻つまり など
・咽頭炎・扁桃炎:症状)扁桃腺の腫れ、発熱、喉の痛み など
・クループ症候群:症状)犬の遠吠えのような咳、声枯れ、息苦しさ など

上記(溶連菌、一部の細菌感染を除く)が主に抗生剤が不要とされている症状です。

■医者に連れて行くタイミングは?

私の性格だと、早めに連れて行ってしまう母親になりそうです。ちなみに私の母は“こんなになるまで連れてこなかった”と言われてしまうと追い詰められてしまうので、“こんな程度で連れてきたの?”と医師から呆れられるくらいが丁度良いと言っています。

それはさておき、実際にはどの程度が目安となるのでしょうか?

今回のガイドラインでは 

①39度以上の高熱
②咳がひどく、眠れない状態 (体力消耗状態)
③発熱に加え、発疹やリンパ腺(耳の後ろ側)の腫れ、腹痛、頭痛などの症状が出ている
④1日に何度も吐いたり、下痢を繰り返す場合
⑤ぐったりして視線がうつろ、といった普段とは違う、親の目から見て変だな、と感じた時

が挙げられています。思わぬ病気が隠れていたり、抗生剤が必要な細菌感染が疑われる場合もあります。早めの受診が安心でしょう。

■現場では

これは医師により千差万別です。

どんなに親御さんが頼んでも頑として処方しない医師もいれば、ひとまず抗生剤を処方する医師もいます。

この”ひとまず抗生剤”は、多くは2次感染による肺炎などのリスク予防を目的としていると思われますので、薬局で聞かれた場合にはそういったことも1つの要因としてあることをお話しています。

本当はきちんと診察の時に医師とそこまで意思疎通を図れればいいのですが、どうしても躊躇してしまうようです。

以前小児科の保護者の方からあまりにも“先生に質問できない”といわれたことがあります。たまたま以前から知っている医師だったので、直接“お母さん達が話し掛けにくいって嘆いてますよ~”と言ったことがあります。それに対して医師は“何にも質問がないから、話さない”と言いました。

忙しそうだからとか、恐そうだからとか、怒られそうなど色々な意見もあるかとは思いますが、まずは積極的に話してみてはいかがでしょうか?

本当は聞かれる前に医師がきちんと説明するのが本来のあるべき姿なのかもしれません。
でもそれができない医師だったら、こちらから聞くしかありません。

今は、住居環境にもよりますが医師を選ぶことが出来ます。納得いく説明ができない医師だったら次からは行かないくらいの気持ちで良いと思います。


参考文献:「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2004」 協和企画発行

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子供の風邪に抗生剤は必要?

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子供の風邪症状対してのに抗生剤の投与に関して、ガイドラインが2004年11月に掲載されました。

抗生剤=悪、なのでしょうか?今回は小児に関するお話です。

■風邪(上気道炎)症状へは“有害無益”


「日本小児呼吸器疾患学会」と「日本小児感染症学会」が合同でまとめた【小児呼吸器感染症診療ガイドライン2004】によると、いわゆる普通の風邪症状(鼻、喉の症状)、扁桃腺などはウイルス感染によるもののため“抗菌剤(抗生物質)は不要”と明記されていました。

特に普通の風邪では、上記のサブタイトルにも書きましたが、“抗菌剤の使用は有害無益とされ、適応がないとする報告が多い”と記載されています。

無意味な抗生剤の乱用で薬が効かなくなる耐性菌の発現を抑えるためにも、病気に応じて抗生剤が処方され、全国どこでも統一された治療が受けられるようになることが望まれます。

もちろん、子供だけでなく成人でも普通の風邪症状では原則抗菌剤は必要ないとの考えが主流です。(「成人気道感染症診療の基本的な考え方」2003年より)

■抗生剤が必要な時もある

矛盾しているわけではありません。

病気の種類によっては、速やかに抗生剤を投与することが必要な場合もあります。小さなお子さんであれば、比較的かかる確率が高い“溶連菌”による症状には抗生剤が効果があります。この場合は、医師の許可があるまで抗生剤を飲み続けることが大事です。尚、この溶連菌に関しては速やかに検査で感染の有無が分かります。

抗生剤=悪、ではないのです。

■抗生剤が不要とされる主な症状・疾患

・感冒(いわゆる風邪症状):症状)38.5度以下の熱、鼻水、鼻つまり など
・咽頭炎・扁桃炎:症状)扁桃腺の腫れ、発熱、喉の痛み など
・クループ症候群:症状)犬の遠吠えのような咳、声枯れ、息苦しさ など

上記(溶連菌、一部の細菌感染を除く)が主に抗生剤が不要とされている症状です。

■医者に連れて行くタイミングは?

私の性格だと、早めに連れて行ってしまう母親になりそうです。ちなみに私の母は“こんなになるまで連れてこなかった”と言われてしまうと追い詰められてしまうので、“こんな程度で連れてきたの?”と医師から呆れられるくらいが丁度良いと言っています。

それはさておき、実際にはどの程度が目安となるのでしょうか?

今回のガイドラインでは 

①39度以上の高熱
②咳がひどく、眠れない状態 (体力消耗状態)
③発熱に加え、発疹やリンパ腺(耳の後ろ側)の腫れ、腹痛、頭痛などの症状が出ている
④1日に何度も吐いたり、下痢を繰り返す場合
⑤ぐったりして視線がうつろ、といった普段とは違う、親の目から見て変だな、と感じた時

が挙げられています。思わぬ病気が隠れていたり、抗生剤が必要な細菌感染が疑われる場合もあります。早めの受診が安心でしょう。

■現場では

これは医師により千差万別です。

どんなに親御さんが頼んでも頑として処方しない医師もいれば、ひとまず抗生剤を処方する医師もいます。

この”ひとまず抗生剤”は、多くは2次感染による肺炎などのリスク予防を目的としていると思われますので、薬局で聞かれた場合にはそういったことも1つの要因としてあることをお話しています。

本当はきちんと診察の時に医師とそこまで意思疎通を図れればいいのですが、どうしても躊躇してしまうようです。

以前小児科の保護者の方からあまりにも“先生に質問できない”といわれたことがあります。たまたま以前から知っている医師だったので、直接“お母さん達が話し掛けにくいって嘆いてますよ~”と言ったことがあります。それに対して医師は“何にも質問がないから、話さない”と言いました。

忙しそうだからとか、恐そうだからとか、怒られそうなど色々な意見もあるかとは思いますが、まずは積極的に話してみてはいかがでしょうか?

本当は聞かれる前に医師がきちんと説明するのが本来のあるべき姿なのかもしれません。
でもそれができない医師だったら、こちらから聞くしかありません。

今は、住居環境にもよりますが医師を選ぶことが出来ます。納得いく説明ができない医師だったら次からは行かないくらいの気持ちで良いと思います。


参考文献:「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2004」 協和企画発行



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